「日本は5年近く好景気」って本当?
9月28日、野党の要求から3ヶ月たって招集された臨時国会は、何の審議をすることもなく閣議決定により衆議院解散となった。
今回の解散は、「2019年10月に消費税率を8%から10%へ引き上げる際に、増収分を国の借金返済から子育て支援策に変更するという政策の可否を問う」ための解散だ、というのが安倍総理の説明のようだ。
しかし、税金の使い道を決めるために解散の必要などないはずだし、本当はいまだ明確な説明をしていない森友・加計学園問題の疑惑から逃れるためか、という見方が根強い。
それはさておき、このモリカケ解散の数日前、9月25日に政府は「日本の景気は4年10か月にわたって拡大し、「いざなぎ景気」を超える長さになった可能性が高い」と発表した。
いったいどれだけの人が、そんなに長く好景気が続いている、という実感をもっているだろうか。
企業の内部留保は増えたが、世帯年収は減った
NHKのビジネス特集「いざなぎ超え データで探る中間層の実像」はこの「好景気と言われるのに実感がないのはなぜ?」に迫っている。
たしかにデータで見れば、企業の経常利益はここ4年過去最高を記録し、企業の内部留保は大きくふくらんでいるという。
株価も日経平均2万円台を回復しているし、有効求人倍率を見ると、雇用の状況が改善しているようだ。
(ただし、株価復は日銀のETF買いや公的年金の投入が支えていると再三指摘され、雇用状況の改善は団塊世代などの退職によって労働人口が減ったのが主な要因だとも言われる。)
個人の生活はどうかと見ると、世帯収入の中央値は、1985年に418万円だったものが、1995年に550万円、2015年には428万円となったという。
共働きが増えたのに、世帯年収は1985年と同レベルに
この世帯収入の中央値は、1995年と比べると一世帯あたり120万円の収入減で、1985年とほぼ同等ということになるが、その頃よりはずっと共働きが増えているので、実質、一人あたりの賃金が大きく下がったと考えることができる。
非正規雇用と正規雇用の年収の差は315万もあるというニュースが先日流れたが、非正規雇用が働く人の4割を超える大きな割合となっているのも、この世帯年収の低下の一因だろう。
収入が減ったうえに、社会保険料などの値上がりでさらに生活が圧迫されているのだから、景気がいいという実感がないのは当然かもしれない。
結局のところ、企業だけが潤い、株価は上がり、働く人の生活は苦しくなっている、というのが現在の日本の状況だと言えよう。