市場に老後を委ねるのは安全か

  1. ロバート・キヨサキの警告
  2. 年金の積立金を株式市場で運用
  3. 自分のお金以外にも興味を持つ

ロバート・キヨサキの警告

ロバート・キヨサキは「金持ち父さんの予言」(筑摩書房刊)のなかで、引退後の資金を株式市場のみで運用することの危うさを指摘している。

個人が401(k)などで老後の資金を貯めている場合、そのお金は投資信託などを通して株式市場で運用されるが、引退するまでは簡単には引き出せないようなシステムになっている。
そのことが結果として市場を支えていることは確かだろうし、そうした人たちが年を取って生活に必要な現金を一度に引き出そうとしたら、株価が下落するのは避けられないだろう。
キヨサキはこうした懸念を2002年に「金持ち父さんの予言」で指摘したが、この本は株式市場などへの不安をあおるとして金融業界では非常に不評だったという。

しかしキヨサキは、今もその懸念は消えていないとして同じことを言い続けている。

年金の積立金を株式市場で運用

日本ではアメリカほどは401(k)が普及していないようだが、一方で国が年金の積立金を株式市場で運用し始めている。

現在の厚生労働大臣の塩崎氏は、積立金運用が国債に偏っているのを改め株式を重視して分散投資するべきだというのが持論で、今回、その割合をさらに増やすことを決めた。
国によっては、年金積立金を株式市場で運用することを禁じているところもあるようだが、日本はますます不安定さを増している株式市場に積立金を投じようとしている。
実際に運用するのは専門の独立法人だということだが、実績はゼロという噂も流れており、国民から集めたお金を博打に使うのかと非難の声も上がっている。
その真偽はともかく、年金制度への不安はすでに国民の間で根強くなっており、株式市場での運用の割合が多くなることで、この先どうなるのだろうと不安に思う人も増えていくのではないだろうか。

自分のお金以外にも興味を持つ

若年層の人たちは、どうせ自分たちの世代は年金がないに等しいだろうから関係ない、などと思っている人も少なくないかもしれない。
だが、株式市場に投資した年金の積立金の一部がもし消えてしまうとしたら、それは国民全体の資産が減ることを意味する。
そのことによって、さまざまな負担がさらに若年層にかかってくることは当然起こると考えなければならないだろう。

真面目に考えれば、このことに無関心ではいられないはずだ。

自分個人のお金、家族のお金だけでなく、国レベルのお金にも興味を持ってみることが必要ではないだろうか。