物価高は続く
金の店頭小売り価格は相変わらず上昇傾向がつづき、10月20日に1グラム1万500円を突破した。
「有事の金」と言われるとおり、世界情勢が不穏なこともあってドル建てで金の価格は上がっているが、それだけでなく、円安が続いてほぼ1ドル150円あたりに落ち着いてしまったせいで、金の価格はさらに高くなっている。
もちろん上昇しているのは金の価格だけではない。
総務省が20日発表した9月の消費者物価指数は、生鮮食品もエネルギーも含めた総合指数は前年同月比で3.0%の上昇、変動の大きい生鮮食品を除くと2.8%上昇となった。ちなみに上昇率が3%を下回ったのは22年8月以来13カ月ぶりだという。
物価高で生活が圧迫されていると感じている人は少なくないと思うが、こうした数字を見てもそれは明らかなようだ。
GDPの転落とエンゲル係数の上昇
10月23日の報道によると、国際通貨基金(IMF)は「2023年の日本の名目国内総生産(GDP)がドルベースで世界3位から4位に転落し、ドイツに逆転されるとの見通しを示した」(毎日新聞)という。
円安の影響とあわせてドイツの物価と賃金の上昇が大きいためとみられるが、日本のGDPの下落が予想より早いのではと話題になっている。
一方、日本のエンゲル係数(家計の消費支出に占める食料費の割合を示したもの)は長らく25%あたりで安定していたが、2022年9月から2023年8月までの数値が1980年以来最高の29%になったことが報じられた。
残念ながら食に贅沢な国になったわけではなく食べていくのが大変な国になってきたということだろうが、これもアベノミクスがもたらした円安の影響が大きいと見ていいだろう。
「経済、経済、経済」
10月23日、岸田首相は第212臨時国会の所信表明演説で「経済、経済、経済」と連呼し、「私は、何よりも経済に重点を置いていきます」と述べた。
だが、結局のところ首相の口から出てくるのは「2030年代には最低賃金1500円を達成していきたい」といったあたりだし、あるいは一時的な所得税減税4万円という案くらいでしかない。
経団連など財界は相変わらず消費税増税を主張しているし、岸田政権の大企業とアメリカの言うことに従っていれば良いという姿勢は変わらないだろうから、このままいけば消費税は今後も上がっていくのだろう。
それなのに、公共サービスや教育や福祉は削られていこうとしている。
大幅な軍備増強ですでに軍備費が教育費を大きく上回る国になってしまい、教員のなり手がいなくて資格がない人まで含めて探している自治体もあるという。
様々な面で、もっと根本的な経済立て直しのための対策が必要なのではないだろうか。