ビッグマック指数で日本は44位

  1. 実質賃金、消費支出ともに前年同月比マイナスが続く
  2. ビッグマック指数で44位に
  3. 派遣法改正と消費税導入

実質賃金、消費支出ともに前年同月比マイナスが続く

総務省が発表したことし8月の家計調査によると、2人以上の世帯が消費に使った金額は、前年同月と比べて2.5%減少したという。

また、厚生労働省による8月の毎月勤労統計調査によると、1人当たりの賃金は前年同月比2.5%減少したとされる(いずれも物価の変動を考慮した実質で比較)。

岸田総理は経済対策に力を入れると言ってきたが、消費支出は6カ月連続の減少、実質賃金は17カ月連続の減少だというから、事態は何も変わらないまま悪化していると言えよう。

日本各地で人手不足でバス運転手が集まらないためバス路線が廃線になるといった事態が報道されているが、給料の低さが原因のひとつであるようだ。

なんとか賃金を上向かせていかないと、日本全体がこの負のスパイラルから抜け出せずに沈んでいくのではないだろうか。

ビッグマック指数で44位に

英エコノミクス誌による「ビッグマック指数」というよく知られた経済指数がある。

これはマクドナルドのビッグマック1個の価格を比較して各国の経済力を測るものだが、今年の数字を見ると日本は44位でルーマニアとベトナムの間に位置する。

20年前は5位だったというから、その凋落のスピードは驚くものがある。原因はいったい何だろうか。

ひとつにはアベノミクスが上げられるだろう。アベノミクスは結局、見かけの株価を水増ししただけで経済回復はできず、円の価値を大きく引き下げてしまった。

だが、2012年12月に始まったアベノミクスよりもずっと前から、その凋落傾向は始まっていたのではないだろうか。

派遣法改正と消費税導入

バブル以降、日本の大企業は人件費の安さに惹かれて中国など海外に製造拠点を移し、日本での技術と人材を失っていくことになった。

国内では、1999年に労働者派遣法が改正されそれまで業務が限定されていた派遣が原則自由になると、企業は人件費削減のために非正規雇用を大幅に増やし、その結果として労働者の賃金が削減され同時に株主への配当が重視されるようになった。

一方で、1989年に3%の消費税が導入され、1997年から5%、2014年から8%、2019年から10%と上がっていったが、消費税が上がるとともに法人税は下がっていき、加えて輸出企業は輸出額に応じて消費税還付金を受け取るようになった(ちなみに今は消費税収の約4分の1が還付金となっているという)。

このような状態で、国民の生活が楽になるとは思えないし、企業の力が伸びていくとも思えない。この状況を直視しなんとか変えていかないと、日本の将来は暗いのではないだろうか。