「FXから株式投資を経て不動産投資へ」
最近ネットでこんな内容の発言を見かけた。
10年以上前に『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで衝撃を受けた。それでなぜかFXを始めて、そのうち株式投資をやって、数年前にようやく不動産投資にたどり着いた。回り道したけど勉強になった
ここにはなかなか深いものが含まれていると感じるので、FXと株式投資、そして不動産投資は何がどう違うのか、ちょっと考えてみたい。
FXは、ロバート・キヨサキの言い方に従えばdeal、取引であり、つまりは「投機」(=安く買って高く売るギャンブル的な短期取引のこと)だ。
株式投資は、もちろん投機的なやり方もできるが、将来の値上がりや配当を期待して有望な企業に出資する長期的な「投資」が基本の考え方となる。
不動産は投機か投資か起業か?
不動産投資でも、転売という投機的なやり方は可能で、アベノミクスバブルでは三為(さんため)と呼ばれる業者によって、その日のうちに価格を上乗せして転売するような取引が横行した。
一般的なのは、インカムゲインや将来の値上がりを期待してマンションの一室やアパートを一棟まるごと買って保有するやり方だ。
これは不動産投資と呼ばれることが多いが、むしろ賃貸経営という事業を始める「起業」だというほうが正確かもしれないと思っている。
アパートの購入資金として銀行からまとまった額の融資を受け、物件を購入し、人によっては法人を設立し、その管理や客付を不動産業者に委託する(一部には自己管理する大家さんもいる)わけだが、これが「起業」だという明確な意識のある人はどのくらいいるだろうか。
融資が比較的容易に受けられる
まったく賃貸経営の経験がなくても、ある程度の資産や収入がある人に対してなら、購入する土地や建物を担保に、銀行はウン千万から億単位の融資をする。
管理や客付を引き受ける業者も、わりと簡単に見つけられる。
儲けがどのくらい出るかは物件の条件と経営手腕によるが、何か商売を新規で始めるよりはハードルが低いし、業者に全部委託すれば、サラリーマンが副業で行うことも可能だ。
金持ちになりたい人に起業を勧めるロバート・キヨサキが、不動産投資について多くを語る理由はこのあたりにあるのではないだろうか。