投資に愛は必要だが損は不要

  1. 気に入って買った投資物件
  2. 損をする取引はダメ
  3. 目で見えないものを頭で見る

気に入って買った投資物件

ロバート・キヨサキはよく自分の投資の経験談を失敗も含めて披露する。『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』(筑摩書房刊)では、1974年にワイキキ郊外の小さなマンションを買った時のことを書いている。

それはキヨサキが最初期に購入した投資用物件のうちの一つで、賃貸するのに向いているだろうと気に入って買ったものだった。

金持ち父さんはキヨサキが行動を起こしたことは褒めてくれたが、取引の書類を見せたとたんに、「毎月どれくらい損をするんだ?」「損をするのになぜ買おうと思ったんだ?」と聞いたという。

損をする取引はダメ

たしかに毎月損が出る物件だったのだが、持ち出しは100ドルぐらいだとキヨサキが答えると、それだけでは済まないだろうと金持ち父さんはさらに指摘する。

「いい物件だと思ったんです」とキヨサキが言うと、「なぜ損をするのに『いい取引』だときみは思うのか?私がいちばん心配なのはその点だ」と怒られてしまった。

さんざんお説教をくらった後、キヨサキは借入の条件を交渉しなおし、少額ではあるが毎月収入があるような形に変更することができた。

この取引についてよく考え、やりなおしたおかげで、キヨサキは多くのことを学ぶことができたという。

目で見えないものを頭で見る

このとき金持ち父さんが強調したのは次の点だ。

「人は行動を起こし、間違いを犯し、それを正すことで学ぶしかないんだ。そして初めて知恵がつく」
「たいていの人は不動産の値段や株を発行している会社の名前ばかりに注目し、理性ではなく感情に動かされて買ってしまう。まず大事なのは、目で見えないものを頭で見ることだ」

たしかに、不動産に投資をするなら不動産が好きで、物件に興味を持ち、詳しく調べたり見に行ったりすることが好きな方がいい。

だが、それ以上に大事なのは、それが利益を生み出す投資かどうかを冷静に見極められること、つまりはファイナンシャル・リテラシーだということを忘れてはいけない。