都心の不動産価格が上昇
このところ投資向けの物件も含めて都心の不動産の価格が上昇し続けていて、不動産投資家もなかなか次の物件が買えないでいる、という話を聞く。
読者のなかには、投資を始めようと考えているが、今は投資用の物件を買うのにいい時期なのだろうか、どんな状況になれば投資にベストのタイミングなのだろう、と悩んでいる人もいるのではないだろうか。
そこで、ここ数十年の日本の不動産投資状況をちょっと振り返ってみたいと思う(ただ、リアルに感じられるのは、1990年代の初頭にバブル経済がはじけたあたりからなので、それ以前のことは省かせてもらう)。
バブルがはじけると過熱していた不動産価格は一気に下落し、一部サラリーマンの間に広がっていたワンルームマンション投資も火が消えたようになった。
情報アクセスと融資がカギ
1990年代後半の火が消えたような時期にも、不動産投資を考える人たち(地主ではない新たな投資家層)が地道に投資を行っていたようだ。
2000年にロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』が出たころから、再び不動産投資に注目が集まりはじめ、そうした投資家たちの本がいろいろ出版されてセミナーも開かれるようになった。
2000年代の半ばになると、「健美家」や「楽待」といった投資物件情報に特化したマッチングサイトも誕生し、不動産投資に興味を持った人が物件情報・セミナー情報などに簡単にアクセスできるようになる。
こうしてサラリーマンが不動産投資をすることが一般的になるにつれて金融機関の融資姿勢も積極的になり、2010年代後半にはサラリーマン投資家への融資に本腰を入れる銀行も現れた。
融資が出やすくなれば価格も上がる
この流れは2018年の「かぼちゃの馬車」事件に端を発した「スルガショック」でいったんブレーキがかかるのだが、こうやって振り返ってみると、2000年以降、不動産情報が少しずつオープンになり、融資も積極的になってくることで、土地をもたないサラリーマンが不動産投資をするハードルがだんだん下がってきたことがわかる。
だが、当然ながら、情報が多く出回れば参加する投資家(投資家予備軍も含め)が増えて競争が激しくなるし、金融機関からの融資が出やすくなれば物件価格も上がっていくことになる。
さらに、日本以外の多くの国ではインフレ傾向で、都市部の不動産価格が上昇するのは世界的なトレンドになっていて、日本の不動産はまだまだ安いと考える海外の投資家もいるようだ。ただ一方でこれから人口が減っていく日本で不動産投資をするのはどうか、という考え方もある。
「投資をするのにベストのタイミングはいつか?」という問いは、それぞれの投資家が「今ある状況で自分にとってベストの選択は何か?」という問いに変換して、自分なりに答えを見つけてゆくしかないのだろう。