持ち家は銀行にとっての資産
よく知られているように、ロバート・キヨサキは『金持ち父さん 貧乏父さん』(筑摩書房刊)のなかで、「持ち家は資産ではない」と言って大きな反響をまきおこした。
金持ち父さんの定義によれば、資産とは、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの、負債とは、あなたのポケットからお金を取っていくものだ。
もし家があなたに家賃収入などの形でお金をもたらしてくれるのならば、それは資産だということになるが、家のために毎月お金を支払っているなら、それは負債だ。
では、持ち家は誰にとっても負債であり資産ではないのかというと、そうではない。
あなたがもし自宅をローンで購入しているとすれば、毎月のローン返済で銀行にお金を払っているはずだ。
その場合は、あなたの持ち家はあなたにとっては負債だが、銀行にとっては資産だということになる。
家はなくなってもローンは残る
2011年3月11日に東日本を襲った大地震と津波によって、家を失った人は多い。
これまで住んでいた家を失った人は、これからの生活のために、新たに住むところを探さなければならない。
だが、家が全壊してしまった場合も、家のローンだけは残ってしまうことになる。
家を失った場合、大変厳しいことだが、被災者はすでに失ってしまった家のローンと、これから住む家の家賃を払いながら生活していくことになる。
つまり、家が全壊して消滅してしまったことで、銀行には資産としての、家の元持ち主には負債としての機能だけが残ることになる。
阪神淡路大震災のあとも、これが大きな社会問題となった。
出口戦略が必要
これは、銀行が強欲だなどと非難しているわけではない。
また、持ち家を持たないようにと言っているわけでもない。
いまの日本のローンの大前提として、そうなっているという事実を説明しているだけだ(そうではないしくみのローンも海外にはあるようだが)。
何か大きな決断をするときには、お金の面についても、この先どのようなリスクがあるのかきちんと見とおしておく必要がある。
まさかのときにどういう解決法があるのか、出口戦略を考えておくというのが、何事についても必要となるだろう。
地震保険をかけておく、というのもひとつの方法だが、地震保険は万一の時の保障額が火災保険の半分であることも付け加えておきたい。
この問題をきりぬける、いい出口戦略をあなたは見つけ出すことはできるだろうか。