政治は経済に対して何ができるのか
ロバート・キヨサキはいま大統領選に立候補しているドナルド・トランプと共著を出版しているが、新刊の『金持ち父さんのセカンドチャンス』(筑摩書房刊)のなかで、キヨサキ自身は共和党も民主党も特に支持していない、しいて言えば無党派だと表明している。
彼が懸念するのは、多くの人が政治家の公約をうのみにして、政府が景気をよくしてくれるはずだと過大な期待をしていることだ。
実際には、国が経済に対してできるのは通貨の量と利率を操作することくらいしかないとキヨサキは言う。
日本でも、いわゆる「アベノミクス」で景気が回復すると期待していた人も多いし、今現在も期待し続けている人はいるのではないだろうか。
インフレだと景気がいいのか
しかし11月1日、日銀は2013年から続けてきた大規模な金融緩和による景気回復の目標を後ろ倒しにして、物価上昇率2%を2017年度中に達成するとしていたのを2018年頃に達成するとしたのだ。
このニュースを聞いて、そもそもインフレ率の上昇がなぜ景気回復を意味することになるのか、という疑問を持つ人もいるだろう。
これについては、キヨサキが『金持ち父さんのセカンドチャンス』(筑摩書房刊)のなかでこう説明している。
現代の貨幣制度はインフレを前提としていて、政府も銀行もインフレを望んでいる、と。
インフレは消費と借金を促す
政府も銀行もなぜインフレを望むのかというと、理由のひとつは、ものの値段が上がることが分かっている場合、人は前倒しでモノを買うからだ。
もうひとつの理由は、インフレになれば借金している人が有利になり、預金する人は不利になることがあげられる。
そして、経済はインフレのもとで成長するようになってしまい、人々はインフレの影にせかされて消費をする。
これがよいことか悪いことかについてはさまざま議論があるだろうが、いまの資本主義経済にはそういう一面があることを知っておく必要があるだろう。