日経平均株価の動き
このところ日経平均株価が順調だと言われている。
確認してみると、1月21日の終値が36546円と、昨年末の株価終値33464円と比べてたしかに約3週間で9%ほど上昇していることになる。
ちなみに2023年の日経平均株価は1年間でほぼ30%上昇しており、「日本経済のデフレ脱却に期待して海外マネーが流入した」ことで株価を押し上げたとも言われている。
まあ、ぶっちゃけて言えば円安で日本株に割安感がでたために海外からの買いが集まったということだろうが、今年はこれに加えて1月から始まった新NISAも株価上昇の一因なのかもしれない。
実際、「生涯で1800万円まで投資できて運用益は非課税」と聞いて、期待に胸をふくらませて参入を決めた人も多いのではないだろうか。
新NISAで投資枠が大幅拡大
去年までのNISAでは、つみたてNISAが年間40万円、一般NISAが年間40万円のどちらかだったが、新NISAでは、つみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間240万円まで、しかも併用が可能(合計で年間360万円まで可能)と上限が大きく引き上げられた。
年間40万円の枠が年間360万円に、つまり9倍になったと考えると、あまりに急激な拡大ではないか、投資経験の少ない人でも大丈夫なのだろうかとちょっと気になってしまう。
実はこの流れは、ロバート・キヨサキが『金持ち父さん貧乏父さん』シリーズでさんざん書いてきた「確定給付型年金から確定拠出型年金へ」の移行が一歩進んだことを意味するものだ。
つまり、国の年金制度や企業年金などがだんだん減っていき、労働者自身が老後に備えて自分自身の責任で年金資金を貯めて株式や投資信託などで運用する方向に進んでいると理解しておくことが必要だ。
投資家としての目を持つ
もちろん、この新NISAの枠で流入する資金が株価の下支えになることは、当然ながら制度設計者の計算に入っていることだろう。
そして、制度設計者にとっても加入者にとっても、株価は上がっていってもらわなければ困るわけだが、果たしてそれは確実なことだろうか。
確かに、ごく長い目で見れば株価は上昇してきたわけだが、今後もそれが続くという保証はどこにもないし、引き出そうとしたときに株価が大暴落していることだって十分起こりえる。
また最悪の場合、自分が選んで投資した会社が倒産して株価がゼロになる可能性もゼロではない。
それに加えて、よかれ悪しかれ日本が深く関係するアメリカがこれからどうなっていくかも気がかりだ。
今起こっているウクライナ侵攻にもガザ侵攻にもアメリカが深く関わっているが、ウクライナは戦争状態が長引いて情勢がいっこうに改善しないし、イスラエルが行っているガザでの民間人虐殺については国際的な批判がかなり高まっている。
さらにBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)が加盟国を増やして力を伸ばしつつあり、アメリカドルはオイルマネーとしての地位から滑り落ちかねないことも頭に入れておかなければならないだろう。
万が一、産油国と日本が対立するような状況になったら、いったい日本はどこから石油を輸入すればいいのか……。
といったように、もし投資家の仲間入りをするのなら、さまざまな可能性を考えて多角的に情報を集める必要がありそうだ。