遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
あわせて能登半島大地震の被災者の方にお見舞いを申し上げるとともに、亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。
マグニチュード7.6の衝撃
新年の挨拶をするのも気後れするような大災害が元旦から起こってしまった。
2024年1月1日16時10分、能登半島を震源地とするマグニチュード7.6、最大震度7の大地震が起こり、震源がごく浅かったためにすぐに津波が押し寄せ、広い範囲で大津波警報が出された。
道路が寸断され全壊半壊の家屋が多いなど、今回の地震の被害が甚大であるのは明らかだが、1週間が過ぎた今も「被害の全容見えず」という報道がなされている。
1月9日正午時点で死者168〜180人、行方不明者は120〜323人、孤立状態の人は1700〜3300人超と、報道機関によってかなりばらつきのある数字となっている。
山深い地形や過疎地帯であることなどを差し引いて考えても、これまでの災害と比べて救援活動がかなり後手に回っているような印象だ。
何が復旧の遅れを引き起こしたのか
災害時に対策の先頭に立つのは、まずは地方自治体の首長ということになるだろう。
石川県の馳浩知事は森喜朗元首相にスカウトされてプロレスラーから政治の道に入った人物で、県知事に出馬したのも森元首相の推しがあったようだが、今は自民党に籍を置いたままで日本維新の会の顧問となっている。
当日は正月休みというのもあってか、妻でタレントの高見恭子さんの実家(東京)にいて、翌日地元に戻ったようだ。
また、自民党が裏金問題で激震しているさなかで、政府も初動が遅く、激甚災害への指定や復興予算の予備費からの積み増しなどにも日数を要した。
今回、自衛隊の派遣人員が少ないことを指摘する声が上がっているが、自衛隊の大型ヘリの多くが8日の「演習初め」に参加していたのには私もちょっとショックを受けた。
道路の復旧が進んでいないことも捜索や救援が進まない原因のひとつであるが、実は県から工事業者への依頼が届いていないらしく、県知事や県庁が機能していないのではないかという懸念の声も聞こえている。
自治体の職員も被災者であることを考えると、国レベルでのバックアップ体制が必要になるということだろう。
志賀原発は大丈夫か
もうひとつ気にかかるのは、昨年末に経団連が再稼働を強く要望していた志賀原発の現状だ。
今回の地震で最大震度の震度7を記録したのは志賀原発の付近であり、敷地内では実際に地盤沈下が起こっているという。
当初の会見で、林官房長官は変圧器で火災が発生したがすぐ消火したと説明し、北陸電力は火災はなかった、2本の外部電源のうち50万ボルトの電源が失われたが残りの27万5千ボルトの方が生きているので問題はないとした。
だがその後、変圧器から約2万リットルという大量の油が漏れていることが報道され、さらに付近の海面に広がっていることも確認された。
原発には多種多様の配管類が使われているが、はたしてそれらは無事なのだろうかと心配になってくる。
もし珠洲原発ができていたら
能登半島では数年前から群発地震が続いていて、原発事故を想定した避難計画の見直しが必要だと指摘されていたようだ。
以前、半島の先端部分に位置する珠洲市でも原発が計画され2014年の稼働開始を目指していたものの、住民の反対で2003年に計画が凍結されたという。
今回の地震で珠洲市の海岸線は最大で4メートル隆起したようだが、もし珠洲原発が稼働していたとしたら、間違いなく冷却水を断たれて大きな事故につながっていたことだろう。
能登半島近くには大きな断層があることが判明している。他の原発についても断層の確認や避難計画などの再点検が必要だと強く思う。