キヨサキの分析
2002年に書かれたロバート・キヨサキの「金持ち父さんの予言」(筑摩書房刊)に、日本についての気になる記述がある。
キヨサキが予想するこれからの大きな変化のうちの7番目にあげられているのだが、「今、世界で2番目の経済大国である日本が金融崩壊と不況の入口に立っている」と書かれている。
ちょうど8番目の「中国が世界最大の経済大国になる」と並んでいるが、日本が中国に経済的に追い抜かれたのは記憶に新しい。
だが、日本が世界で2番目の経済大国の座から落ちようとしている理由は、日本の内部にこそあるとキヨサキは言う。
どういうことだろうか。
面目を保つ文化
ロバート・キヨサキはここで日本の没落の理由をいくつか挙げている。
理由その1 退職年齢の低い日本では、ベビーブーマーが早めに引退時期を迎えた。
理由その2 日本の高年齢者層は国を動かす力を失わず、為政者のままでいる。
理由その3 日本は、変化に抵抗する古い経済の土壌を持つ国だ。
理由その4 日本の文化では、面目を保つことがとても重んじられている。
私たちに思い当たることはないだろうか。
批判と向き合う
そしてロバート・キヨサキは日本のバブル後の債権処理についてこう言う。
「つまり、日本政府は大掃除をする代わりに現状にしがみついている。面目を保とうと試みる日本の銀行、政治家、国民は、反対に世界中に恥をさらしている。面目を保つ必要性が日本の経済を破たんさせた。つまり、高い教育を持ち、勤勉で、貯蓄に励む国民が築き上げた経済は、面目を保つ必要性に押しつぶされて破たんした。」
ここに書かれた日本の姿は、今に至るまで何も変わっていないように思える。
今の私たちがこの批判にしっかり向き合ってこそ、新しい日本が生まれることになるのではないだろうか。