相場は過熱している?
3月4日朝、株式市場が開くと同時に日経平均株価が4万円を超え、テレビでも速報が流された。
このところの日米株価の上昇は「生成AI」が熱いテーマとなり半導体関連株によって牽引されてきたと言われるが、日本市場はそれに加えて円安による割安感から買われる銘柄も多いようだ。
当面の目安になっていた日経平均4万円を超えて、株価がまだ上がるのかそろそろ落ち着くのかが気になるという声も聞かれるが、こればかりは予測のつけようがない。
一方で、ドル建てで日経平均株価を眺めてみると、実は2017年頃のほうが今よりも高い水準にあったという指摘もされている。
今の相場が過熱しているかどうかについて見方が分かれているのは、こうしたこともあるのだろう。
ゴールドもビットコインも過去最高値
同じく3月4日、金(ゴールド)の店頭取引価格が1g=11,000円を超えた。
1g=1万円を超えたのが昨年8月末のことだったので、ほぼ半年で1割上昇したことになる。
さらにビットコインも急上昇しているようで、3月4日には1ビットコインが6万5000ドルを突破、3月5日未明には1000万円を突破したというニュースが流れた。ユーロ建てでも最高値を記録しているという。
株、ゴールド、ビットコインが過去最高値……いったい何が起きているのだろうか。
いろいろ考え合わせてみると結局、貨幣価値が下落しているのではないか?と思わずにはいられないのだが、実際はどうなのだろうか。
政府が「デフレ脱却」表明へ
3月3日、政府が物価の上昇傾向を受け「デフレ脱却」を表明する検討に入ったことがわかった、というニュースが流れた。
だが前回も書いたように、国内総生産(GDP)は2期連続でマイナスとなり、景気後退に入ったと報じられたところだ。また、日本の実質賃金は21カ月連続でマイナスを記録している。
つまり、経済成長の鈍化と価格の上昇が起こっているわけだが、ここに高い失業率が加わるとスタグフレーションといわれる経済状況になる。
たしかに、現在の日本は高齢化による人手不足で失業率は高くないものの、低賃金の非正規雇用の割合がどんどん高まって格差が広がり、生活苦を訴える人が増えている。
そうした現状を考えると、これは新しい形の日本型スタグフレーションと捕らえるべきではないかという気もしてくるのだが……。