日経平均2万円を支えるもの

  1. インフレ脱却はいつ可能に?
  2. 株主になっていく日銀
  3. 何が問題なのか

インフレ脱却はいつ可能に?

日銀は7月19、20日に開かれた金融政策決定会合において、2%の物価上昇率の達成は「2019年度ごろになる可能性が高い」としたと28日に報道された。

今の異例の金融緩和政策はアベノミクスの目玉として始まったものの、目標とされた2%のインフレ実現は何度も先送りになってきた。

そして今度は、現在の黒田総裁の任期中には実現不可能という結論になったわけだが、これがさらに先送りされないという保証はない。

現在行われている大規模な金融緩和政策はそのまま続けるとのことだが、これについて関係者が懸念を示しているというニュースがいくつか報道されている。

株主になっていく日銀

現在、日銀は金融緩和政策の一環として年6兆円規模でETF(上場投資信託)の買い入れを行っているが、関係者が懸念しているのはひとつにはこのETFの買い入れについてだ。

今年3月末時点で日銀が保有するETFの時価は15.9兆円と、東証1部の時価総額約600兆円の3%弱を占めるという。

たとえば、ユニクロで知られるファーストリテイリングは日経平均に大きな影響を及ぼす銘柄だが、その浮動株の割合は25%と小さく、すでに15%ほどを日銀が保有している(2017年3月末時点)。

このまま買い続けていくと、2020年には浮動株のほぼすべてを日銀が買い尽くすことになるという。

何が問題なのか

日銀のETFの買い入れや年金資金の株式運用によって日経平均が上がっているのは、株式投資をしている人にとってはいいことのように思えるかもしれないが、巨額の資金流入により起こる株高は、しょせん人為的なものでしかない。

ことに、さきほどのファーストリテイリングの例をみても想像がつくように、浮動株の割合が小さい銘柄では価格変動が大きくなる。

また、買い入れを縮小したり売却に転じた時に、大きく日経平均が崩れることが予想されるし、そのために売却することができない可能性もある。

さらに、株価が長期間下がらないことで経営者が安心してしまい、経営にゆるみが出るかもしれない。

いずれにせよ、あまりいい影響はもたらさないのではないか、と関係者たちが懸念を示しているのだから、株式投資をしている人は頭の隅に置いておいたほうがいいかもしれない。