大卒の就職率が過去最高に
先月19日のニュースによると、この日文部科学省と厚生労働省が発表した調査では、今春卒業した大学生の4月1日時点の就職率が前年とくらべて0.3ポイント増加し97.6%となったことがわかったという。
この数字は、1997年の調査開始以来の過去最高を更新した。
文科省はその理由を、「景気回復が続いて、企業の求人が増えているためだ」と分析している。
ほんとうなら喜ばしいのだが、これをそのまま鵜呑みにしていいのだろうか。
非正規雇用が増え、初任給は上がらない
たしかに、大卒の就職率はいい数字が出ている(ただし、就職浪人している人の数はここでは母数としてカウントされないことは、頭に入れておこう)。
また、有効求人倍率もバブル期以来の高水準らしい(ただし、精査してみるととても応募がありそうにない低条件の求人票が含まれていることも指摘されている)。
だが、もし好景気で求人が増えているのなら、新卒の給与が大幅に上がってもいいはずだが、そうした話はあまり聞こえてこない。また一方で、正規雇用が減り、非正規雇用の割合が上がりつづけ、すでに4割を超えたとも言われている。
生産年齢人口はピークより1000万人減少
こうしたことをあわせて考えると、「景気が回復したので求人が増えている」と言われてもなかなか信じがたいが、人手不足なのは確かなようだ。
なぜ人手不足なのか、その理由は日本の人口ピラミッドを見れば納得がいく。
戦後のベビーブーム世代、昭和22年~24年生まれの団塊の世代が、再雇用期間も終わりいっせいに退職したことと、少子化により若年層が減っていることで、日本の生産年齢人口(15歳~64歳)はピーク時よりもなんと1000万人も少なくなっているのだ。
当然、相対的に賃金が低い若年層は売り手市場になっているというわけだが、それにしては待遇が改善されていないように思えるのは不思議なことだ。