本当に景気はいいのか?

  1. 実質賃金も名目賃金も下がっている
  2. 企業利益は内部留保で積み上がっている
  3. 食べ物が小さくなっている

実質賃金も名目賃金も下がっている

「いざなぎ超え」の好景気と言われる日本経済だが、実際には実質賃金が下がり続けている、という指摘が以前からされてきた。

実質賃金とは名目賃金とセットで使われることが多い言葉で、働いて受け取った賃金の額(これを名目賃金という)を物価指数(または生活費指数)で割った値を言い、いわば受け取った賃金でどれだけのものが買えるかを表わす数値だ。

たとえば、名目賃金が上がったとしても、同時に同じ率で物価が上昇していれば、買えるものは増えないままで実質賃金は横ばいになる。

だがここへきて、日本は近年、実質賃金だけでなく名目賃金そのものが下がっている、というニュースがテレビや新聞で報じられている。

企業利益は内部留保で積み上がっている

たとえば、1月18日に放送されたNHKのクローズアップ現代プラス「#くいもん小さくなってませんか 食の“スモールチェンジ”裏事情」という番組がそれだ。

番組の中で示されたG7各国の名目賃金を比較したグラフを見ると、2000年を1とした場合、カナダ・フランス・アメリカ・イタリア・イギリス・ドイツは軒並み1.5近くまで上昇しているが、ただ1か国、日本だけは名目賃金が下落し、1を切っている。

つまり、働いて受け取る賃金の額が21世紀に入ってから減っていることがわかるが、同時に示された企業の内部留保のグラフを見ると、企業の利益が一般社員に還元されることなく社内で積み上がっていることも見て取れる。

いくら日銀が異次元の金融緩和をしても、銀行と大企業の内部に積み上げられているのでは、いくら好景気だと言われてもにわかに信じがたい気がする。

食べ物が小さくなっている

この番組は、しばらく前にTWITTERなどのSNSで話題となった、牛乳やチーズ、お菓子などの食料品が値段はそのままで内容量が減っている現象をとりあげたものだが、これは物価指数には表れないような形で実質的な値上げが行われていることを意味する。

なぜメーカーがスモールチェンジをするのかというと、アベノミクスによる円高などで原材料が値上がりしているためメーカーはそれを製品の価格に反映させたいが、消費者が「価格が安いこと」を重視するので、結果として価格を上げずに内容量を減らすことを選択するのだと言う。

なぜ消費者が価格の安さを重視するかというと、それは賃金が上がっていないからだと、「食のスモールチェンジ」の実態調査をした渡辺努・東大教授は指摘する。

果たして日本はいま、政府が言うように本当に景気がいいのだろうか。あなたはどう思いますか?