米ドルの足元が気になる

  1. 金は1g=9300円台に
  2. 自国通貨による決済が増えている
  3. アメリカ追随一本槍でいいのか

金は1g=9300円台に

3月の上旬に米シリコンバレーバンクの破綻から始まった金融不安は、その後ヨーロッパへと飛び火した。

3月中旬にはクレディスイスの株価暴落とUBSによる買収、下旬にはドイツ銀行の株価暴落と連鎖して起こっている。

年度をまたいで金融不安はいったん収まったように見えるが、いつまたどこで再燃するのかという懸念は市場に色濃く漂ったままだ。

そうした流れをうけて金の相場は上昇を続け、2月末には1g=8800円台だった店頭小売価格は、4月4日現在1g=9300円台まで上がっている。

自国通貨による決済が増えている

こうした金融不安の流れとはまた別に、お金についての気になるニュースがぽつぽつと耳に入ってくる。

たとえば、今年1月には、「サウジアラビアの財務大臣がドル以外の決済通貨を使った貿易に関する話合いにサウジはオープンだと表明した」というニュースが流れた。

3月になってからは、「インドがマレーシアとの貿易で、決済通貨をドルからインド・ルピーに変更すると発表」だとか、「中国と南米ブラジルは、両国間の貿易取引の決済でそれぞれの自国通貨の人民元とレアルを用いることで合意」といったニュースが報じられている。

つまりは、貿易において各国が自国通貨を使うことが増え、ドルが貿易の決済通貨としての重要性を徐々に失っているととらえることができるのではないだろうか。

アメリカ追随一本槍でいいのか

これまで、米経済の強さから生じた米ドルの通貨としての安定感と強さが、アメリカ以外の各国間の貿易決済に広く使われることを裏書きしてきた。

そしてまた、米ドルが世界的に広く貿易決済に使われていることで、結果として米経済を下支えしてきたと言ってもいいだろう。

だが、インドや中国がGDPを伸ばし、自国通貨で貿易を決済するようになれば、米ドルの位置づけは当然ながら下がっていくことになる。

日本の自民党政府は敗戦から今に至るまで、一貫してアメリカの顔色だけを見て舵取りをしてきたし、今の岸田内閣はこれまで以上にアメリカ追随があからさまになっている。

政権維持のためにアメリカにすり寄って他の国を敵対視し関係を結ばないという道を選んでいると、近い将来、日本という国の先行きが厳しくなるのではないかと心配だ。