今度はクレディスイスが
シリコンバレーバンク破綻から始まった金融不安はじわじわと広がって、先週はクレディスイスの株価が暴落し、スイス中央銀行が支援を表明、最終的にスイス金融大手UBSに買収される事態となった。
スイスの銀行といえば、マンガやアニメなどで「手堅くて顧客の資産を守り抜く」といったふうに描かれて、私たちもなんとなくそうしたイメージを持っていたように思う。
だが実は、クレディスイスはかなりリスキーな投資をして失敗を繰り返しており、株価はずっと右肩下がりでこの半年では60%以上も下落していたというから、今回の事態もそれほど驚くには値しないのかもしれない。
ちなみに、シリコンバレーバンクのニュースが流れたときに、ロバート・キヨサキは「次はクレディスイスだろう」と発言していたようだ。
金融不安は収まらない?
UBSによる買収が決まったことでクレディスイスの株式保有者は救われた形だが、2兆円を超える同社のAT1債(社債の一種)は無価値化されることになるようで、保有者の不満は高まり市場も警戒感を強めているという。
こうした金融不安のなか、アメリカで予測通りに利上げがなされるのかどうかに注目が集まっている。
もともとは、コロナ対策で大規模な金融緩和を行い、物価高になったのを受けて今度は急激に引き締めを行ったことが、今の金融不安の引き金となったのは明らかだろう。
今はさまざまな読みや憶測が乱れ飛び、そのたびに株価が乱高下している。
ここしばらくは、金融不安も株価の乱高下も収まらないのではないだろうか。
現物に資金が流れている
金融をめぐる不安感が高まると、自然な流れとして金などの現物に資金が集まる。
3月上旬、シリコンバレーバンク破綻のニュースが流れると、13日には金の店頭小売価格がはじめて1g9000円を超えた。
その後の各国株式市場の乱高下やクレディスイスの危機によってその懸念はさらに大きくなったようで、週明け20日のニューヨーク商品取引所の金先物相場は続伸し、4月渡し分が1オンス=1982.80ドルと、約11カ月ぶりの高値を付けたという。
ちなみにこれを日本円に換算すると1g=9300円ほどなので、1週間で3%値上がりしたことになる。