約2カ月で20円の円高
9月16日、為替はほぼ1年2カ月ぶりに1ドル=139円台をつけた。これで7月から9月の約2カ月のあいだに20円ほど円高に振れたことになる。
ここ5年ほどのドル円のグラフを見直してみると、2022年の春頃は1ドル=115円だったのがウクライナ紛争が始まると急激に円安が進み始め、今年7月上旬に1ドル=161円台をつけたあと円高方向へと動きを変えているのがわかる。
株式市場は、アメリカの経済指標や相場を牽引してきたNDIVIAの決算などが出るたびに日米ともに大揺れとなり、乱高下を繰り返している。
今週は、米金利引き下げがどうなるかに注目が集まっており、しばらくは荒い値動きが続きそうだ。
「年金は80歳からでいい」
テレビはこのところ選挙の話題が増えたように思う。
東京都知事選のときには候補者の討論会を一度も放映しなかったのに、アメリカ大統領選挙の討論会はなぜか中継までしているし、自民党総裁選もかなり熱心に報じている。
自民党総裁選は自民党員しか投票できないし、アメリカ大統領選に至っては他国の首長選なのに、この不思議なほどの熱の入れようはなぜなのか。
繰り返し自民党総裁選のニュースが流されているうちに世論調査での自民党の支持率がじわじわと上がっていくのを見ると、結局はマスコミ全社をあげて自民党の広報をやっているのではないかという気がしてくる。
しかしいくらマスコミが好意的に取り上げても、裏金問題や旧統一教会の問題に取り組むと明言する候補は一人としていないし、「年金受給は80歳でいいのでは」「解雇規制の緩和を」といった発言が反発を招く結果となって、SNSでは「#自民党くるくるパー総裁選」などと揶揄するハッシュタグまで生まれている。
高い国民負担率と小さな政府
総裁候補の一人である小泉進次郎の父・小泉純一郎が労働派遣法を改正したことが非正規雇用を増やし就職氷河期の一因となったが、その仕上げを今度は息子がするのか、といった怒りの声さえ聞こえて来る。
失われた30年と言われるが、そのあいだほぼ政権与党であった自民党は、ずっと大企業のほうを向いて政治をしてきた。
その結果、日本の国民負担率(国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合)は50%に近づこうとしている。
つまり収入の半分は税金や社会保険料としてもっていかれるということだが、それはいったい何に使われているのか。
ここ数日の報道では、東大が授業料値上げを発表し、東京都は家庭ごみ回収の有料化を検討していると言う。これでは税の二重取りだろう。
国民負担率は上がっていくのに国政は小さな政府をめざす、というのは一番ダメなパターンだと言わざるを得ない。
国の舵取りが大きく間違っているとしたら、そしてそれを政権与党自体が正すことが出来ないなら、国民の力によって船頭をすげ替えるしかないだろう。