野村、三菱UFJ……相次ぐ金融業界の不祥事。顧客は何を信用すればいいのか?

  1. 裁判官がインサイダー取引?
  2. 強盗殺人未遂・放火、貸金庫からの窃盗
  3. マスコミは事件の全容を明らかにせよ

裁判官がインサイダー取引?

このところ、日本の金融業界で大きな問題が立て続けに起きていることはご存じだろうか。

まず10月18日の報道。「9月下旬に野村證券が国債先物取引で相場操縦行為をしたとして課徴金納付を命じるよう証券取引等監視委員会が金融庁に勧告したが、これを受けて大手機関投資家10社が野村證券との取引を一部停止していることがわかった」

正直なところ、まあ証券会社は相場操縦くらいするだろうな(だから禁止され監視されているわけだし)という感想だったが、その翌日のニュースにはちょっと驚いた。

10月19日の報道。「金融庁に出向中の裁判官が職務で知ったTOB(株式公開買付)の情報をもとにインサイダー取引をしていた疑いが浮上し、関係先の捜索が行われた」

金融庁に出向した裁判官までがインサイダー取引をやってしまうとは嘆かわしいが、そういう世の中だと知ればたいがいのことでは驚かなくなる。

10月23日の報道。「東京証券取引所の職員がインサイダー取引に関与したとして金融商品取引法違反容疑(親族に売買を推奨した容疑)で証券取引等監視委員会が強制調査を行った」

さらに11月1日の報道。「三井住友信託銀行の管理職であった社員が業務上知り得た情報で複数回にわたって他社の株式を売買し利益を得ていたと自己申告し、即日懲戒解雇となった」

強盗殺人未遂・放火、貸金庫からの窃盗

連続するインサイダー取引のニュースに慣れてきた頃に、さらに驚かされるニュースが出てきた。

11月20日の報道。「広島地検は元野村證券社員(29)を強盗殺人未遂と現住建造物等放火の罪で起訴した。7月28日に顧客の80代夫婦に睡眠薬を飲ませ、2600万円を奪った上に家に放火した容疑」とのこと。夫婦は逃げ出して無事だったようだが、まさか証券会社の営業マンに財産と命を狙われるとは想像もしていなかっただろう。

そして同じく衝撃的だったのが、11月22日の報道だ。朝日新聞の記事を一部そのまま引用しよう。

三菱UFJ銀行は22日、東京都内の貸金庫から顧客の資産を盗んでいたとして、貸金庫の責任者だった行員を14日付で懲戒解雇したと発表した。被害者は約60人に上り、時価で十数億円の被害を確認したという。同行によると、元行員は2020年4月~24年10月、練馬と玉川の2支店の貸金庫から現金や金、宝石などを盗んだ。行内のルールでは、顧客に無断で貸金庫は開けられず、開ける際は管理職の許可を取って複数人で行うことになっている。だが、元行員は支店の貸金庫の管理責任者だったため、その立場を利用して顧客に無断で貸金庫を開けていた

マスコミは事件の全容を明らかにせよ

このニュースを知って「まさかそんなことが……」と思った人もけっこういるのではないだろうか。

預けたものが無くなっていると訴えても、銀行の確認のもとで預けたわけではないし、補償交渉も手探り状態になるのではないだろうか。

もしかしたら他の支店でも、いや、ほかの銀行でも同様のことが起こっているのではないか、預けた人が気づいていないだけかもしれない、と疑いは果てしなく広がっていきそうだ。

実はネット上には数年前から「貸金庫に預けていた現金がなくなった。銀行に言っても警察に話しても信用されない。同支店では以前からそうした被害の噂があったが本当だったのか。どうしたら解決できるのか見通しが立たない」といった投稿があったようで、もしや今回発覚した三菱UFJ銀行のことだったかと推測が飛び交っている。

金融機関というのは顧客の信頼を得ているからこそ成り立っているわけだし、貸金庫業務は顧客のプライバシーを守りつつ資産を預かる役割のはずだ。

その信頼が根底から覆されたのだから、今回の衝撃は大きい。顧客はいったい何を信用して取引すればいいのだろうか。

マスコミは、ぜひとも事件の全容を解明して報道してほしい。