トリプルレッドのアメリカ
11月5日にアメリカ大統領選の投開票が行われ、翌6日の未明にはドナルド・トランプが次期大統領に決まった。
15日時点の情報だと開票率は98%で開票作業が続いているようだが、そろそろ確定する頃ではないかと思う。投票率はどのくらいになるのだろうか。
大統領選と同時に行われた上院と下院の選挙でも共和党が過半数の議席を占めて「トリプルレッド」の状況となり、これからアメリカの舵取りが大きく変わると言われている。
例えば大型減税や外国製品の関税強化などの政策が見込まれるため、それらの影響による景気の拡大とインフレ再燃の可能性を意識してか、すでに米ドル高が進行し金利も高止まりしている。
予測されている変化は経済分野に限らない。
民主党政権下で加速してきたWOKEISM(人種的・社会的平等の重視やLGBTQなどを含む多様性の尊重。いわゆる意識高い系)の動きは大きく見直されていくだろうと言われていて、米国内に暮らすアジア系の人たちをはじめいわゆるマイノリティは警戒し始めている。
政治が動いている
ここへ来て政治が大きく動いているのはアメリカだけではない。
ご存じのように、日本では10月末の衆議院選で圧倒的多数を占めていた与党自公が279から215と大きく議席を減らして過半数に届かなくなり、慎重な政権運営が必要となった。
イギリスでは7月の総選挙で労働党が議会下院の650議席のうち400議席を超える大勝を収め、14年ぶりに保守党から政権を奪還した。
フランスでは7月の解散総選挙の結果、与党連合も左派連合も右派も過半数を得られずに膠着状態が続いている。
ドイツでは11月上旬に連立政権が事実上崩壊し、来年1月に総選挙が前倒しで行われることになった。
もちろん、政権が安定していればいいと言いたいわけではない。いずれにせよ政治の状況にはしっかりと目を向けているようにしよう。
BRICS拡大がひらく新局面
それに加えて、世界全体を見渡したときに見逃せないのはやはりBRICSの台頭だ。
10月22~24日にロシアのカザンで第16回BRICSサミットが開かれたというニュースが流れたが、かなり規模が拡大していることがわかる。
初期メンバーの5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)に新規加入した国(イラン、エチオピア、エジプト、UAE=アラブ首長国連邦)を併せて9カ国、さらにBRICSパートナー国を合わせると参加した国は36カ国になるという。
いずれも天然資源に恵まれた国々だが、ロシアを中心に結集して欧米先進国に対抗し、基軸通貨としての米ドルの支配から脱しようとしていると見られている。
これまでの欧米先進国中心の世界秩序が政治面でも経済面でも新たな体制に移ろうとしているのかもしれない。日本はこの先どうしていくのだろうか。