自民党の地方選連敗と高い支持率
4月19日に行われた全国13の市長選挙で、自民党が応援する現職市長が次々と敗れた。
埼玉県久喜市、千葉県東金市、愛知県あま市、福岡県嘉麻市、福岡県朝倉市、宮崎県小林市の6市、さらに引退する現職の後継者とされた自民候補が敗れた滋賀県近江八幡市を入れると7市となる。
自民の支持率が高い今の時期に、現職で自民公認(または推薦)ならほぼ当確だろうと思われる地方首長選でのこうした結果は、高市自民による強権的な政治に対しての強い批判の声であり、国民からの拒否反応だと言えるだろう。
一方で、最新の世論調査での高市内閣の支持率は、いちばん低い毎日新聞の調査でも53%に達している。
国政レベルでは自民党の支持はまだまだ高いということになるが、この落差はいったいどこから生じているのだろう。
もしかして、テレビのワイドショーやニュース番組で高市内閣を高評価しているのを、そのまま信じている人が多いのか?
あるいは、アベノミクスから続いている円安による日経平均株価の嵩増し作戦に、目を眩まされている人がまだまだ少なくないということなのか?
「戦争したがる総理はいらない」
高市政権になってから6カ月、日本国憲法を変えて戦争の出来る国にしようとする動きは急速に進んでいると言えよう。
「憲法改正、時は来た」と高市首相は先日の自民党大会で意気込みを述べ、軍拡予算の成立に続いて、海外への殺傷兵器の輸出解禁、国旗損壊罪やスパイ防止法、国家情報会議法などを次々と推し進めようとしている。
それと平行して、国民のあいだではそうした動きに対する危機感が高まっている。
4月8日の夜に国会議事堂前で行われた「#平和憲法を守る0408」のデモには3万人が、同時に全国47都道府県150カ所で行われた連帯するスタンディングには2万人が参加し、その盛り上がりはCNNなどにより海外に向けて報道された。
4月19日の昼にも同じ国会前でデモが行われて参加者は3万6千人、全国の連帯スタンディングは190カ所と拡大し、参加者は5万1千人へと増えている。
国内のニュースではこれらをなぜか「戦争反対」「イラン戦争の終結」「改憲反対」を訴えるデモとしてのみ紹介しているが、実際には「自民も維新も憲法触るな」「高市早苗は総理をやめろ」「戦争したがる総理はいらない」「外交できる総理に変えろ」といったコールも行われている。
「外交できる総理に変えろ」
そして「外交できる総理に変えろ」というコールは、日を追うごとに切実さを増しているように感じる。
というのも、イラン戦争(アメリカとイスラエルによるイラン攻撃)が起こってからほぼ2カ月、中東からのタンカーが日本に入っていないからだ。
イランは日本に対して、交渉によって日本のタンカーはホルムズ海峡を通過することができると一貫して言い続けているが、高市政権はイランを非難するばかりでせっかく開かれた門戸を自分で閉ざそうとしているし、中東諸国とも対話の機会を自分から逃している。
さらには4月19日、ホルムズ海峡の自由航行を求める国際会議がネット上で行われ、多くの国のトップが参加したが、高市首相は公邸にいたにもかかわらず参加しなかったという。
中東での今回の戦闘が始まってから、各国は石油確保のために必死に外交努力をしているが、日本は原油が入ってこないままに備蓄してあった石油の放出を始めた。
すでに市場では、航空燃料・ガソリン・軽油・重油などの燃料、エンジンオイル、重機用潤滑油、建築用断熱材、塩ビ管、食品用包装材、医療用器機(手袋・注射器・点滴用資材等)、不織布、シンナー類、塗料、印刷用インキなどが軒並み大幅値上げや品薄・欠品となっていて、あらゆる産業が不安に陥っている。
さらに、アルミニウム、アドブルー(尿素水溶液。これがないとジーゼル車などは動かせない)、ヘリウム、種・肥料なども供給が不安視され、下水汚泥処理のための重油も手配のめどがたたない自治体が出ている(つまり下流に位置する都市の上水道の安全性に赤ランプが付くことになる)。
こうした資材の値上がりや欠品で、塗装業や建築業などのなかには倒産するところも出始めている。
一言で言うと、私たちの生活や生命にじわじわと危険が迫っているということだ。
島国にとって外交は命綱
中国との外交問題も厳しい状況が続いている。
高市首相は昨年11月国会での「台湾有事は日本の存立危機事態」であるという発言で、中国との関係悪化を招いたが、結局その発言を撤回していない。
そのため、中国からのレアアース(例えばタングステン)など資材の輸入枠がじわじわと縮小されてきて、国内の製造業に影響が出始めている。
その緊張状態のまま、今年3月上旬には中国大使館に脅迫状が届き、3月24日には陸自えびの駐屯地(宮崎)所属の3等陸尉村田晃大容疑者が包丁を持って中国大使館に侵入し逮捕された(各国大使館の警備責任は日本の警察にあることに留意)。
さらに4月17日には、日本海自の護衛艦「いかづち」が自動識別装置(AIS)をオフにした状態で、4時から17時50分までの14時間、台湾海峡に滞在するという事案が発生した。
この日は1895年に下関条約(日清講和条約)が締結された日であり、その日を狙って自衛隊が起こした挑発行為だと取られても言い訳の出来ない状況だと言えよう。
いずれの件についても日本政府は正式な謝罪をしていないが、燃料や資源や食料を輸入に頼る我が国にとって、外交が命綱なのは政権与党である自民党もよくわかっているはずだ。
どうか国民の生活生命を大事に思って、政権運営を行っていただけるよう切に願う。
