金持ちからはなぜ税金を取らないのか?

  1. 会社は損失を制限するシステム
  2. 企業は自由に動き回れる
  3. 従業員は税金から逃れられない

会社は損失を制限するシステム

ロバート・キヨサキは「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」(筑摩書房刊)のなかで、会社というシステムについて説明している。

会社というシステムが普及したのは、産業時代の幕開けの頃だったという。

大航海時代の初期には、富を求めて船を出すときに、金持ちは会社を設立した。

船が帰ってこなかったときには船員の遺族に保証金を払わなければならないが、会社をつくることによって、損失を出資金の範囲に制限することができたからだ。

いまもこの時代と状況はあまり変わっていないのではないか、とキヨサキは言う。

企業は自由に動き回れる

政府は金持ちから税金を取らないようにしているわけではない。

しかし、クワドラントの右側、つまりBとIの側には、税金を合法的に避け、富を政府の目から隠す方法がより多く存在する。

金持ちは会社を作り、自分の会社の従業員になり、個人としては何も所有しない場合が多い。

彼らが富を持ち続けていられるのは、、単純に彼らが個人としてではなく企業体として活動しているからだ。

個人は海外に行くのにパスポートが必要だが、企業なら自由自在に海外に出ていくことができる。

いまや、企業はタックスヘイブン(租税回避地)を求め、ネット上のサイバースペースへと移っている。

国が企業を足止めするのはなかなか難しい時代になっているのだ。

従業員は税金から逃れられない

政府は大衆の支持を得るために、年金や福祉、医療など、さまざまな約束をする。

それぞれの提案はすばらしいことに思えるが、それを機能させ維持していくためには、さらに多くの税金が必要となる。

企業から税金を徴収するのが難しいとなれば、必要な税金は取りやすいところから取るしかない。

クワドラントの左側でEとして雇われて働く従業員は、すべての収入を把握され、税金から逃れる方法を持っていない。

アメリカでは1943年にすべての労働者から源泉徴収という形で所得税を取り始めた。

それ以降、どのような税制改正が行われてどんな変化がおこったかについて、キヨサキはこの本の中で触れている。

日本でも、さまざまな税制改正が行われているが、それが何を意味するのか、調べてみてはどうだろうか。

まずは、自分の給与やアルバイト代の明細をじっくり眺めることから始めてみよう。