金持ち父さんは何を予言したのか?

  1. 経済的な大嵐がくる?
  2. 金持ち父さんが心配していたこと
  3. 社会保障はあてになるのか?

経済的な大嵐がくる?

ロバート・キヨサキは「金持ち父さんの予言」(筑摩書房刊)のなかで、これから起こるかもしれない経済的な大嵐にそなえて、自分自身の「方舟(はこぶね)」を造ろうと呼びかけている。

「方舟(はこぶね)」を造るって、いったい何のこと?と思う人もいるかもしれない。

「方舟」を造るというのは聖書の「ノアの方舟」の話から出てきたイメージだが、キリスト教文化にあまりなじみのない人でも、この話は聞いたことがあるだろう。
「ノアの方舟」は聖書のなかの「創世記」に書かれているエピソードで、世界を滅ぼす大洪水が来るのに備えてノアが山の頂に巨大な方舟を造ったという話だ。
ノアが方舟に家族とあらゆる動物のつがいを乗せた後、雨は40日間降り続き、150日のあいだ洪水が猛威をふるったという。

ノアが遭遇した大洪水に匹敵するようなことが、これからの私たちの身に起こるとキヨサキは言うのだろうか。

金持ち父さんが心配していたこと

実は、経済的な大嵐が来て多くの人が呑み込まれてしまうのではないかと心配していたのは、金持ち父さんだった。

1974年にエリサ法という法律がアメリカで成立したが、このころから金持ち父さんの心配は始まった。
エリサ法は、従業員の定年後の生活資金をまかなうのに、「社会保障」「従業員自身の蓄え」「確定拠出型の企業年金」を利用することを推奨するものだった。

それまでの企業年金は「確定給付型」つまりいくら貰えるか年金の給付額を決めたものだったのに対し、「確定拠出型」は従業員と会社がいくら拠出したか、つまり積み立てた額によって受け取る年金の額が変わるものだ。

さらに、従業員は自分と会社で積み立てた年金資金をどう運用するのかを自分で決めなければいけないが、投資信託などを通じて株式市場に投資することになる。

つまり、いま日本でも行われている401(k)のおおもとになっているのが、このエリサ法だということだ。
この法律は、まず、会社が従業員の定年後の生活までを見るという、産業時代のとりきめをやめたことを意味する。
金持ち父さんが特に心配していたのは、この法律によりすべての人が投資家になるようにと決められたのに、投資家になるための教育がまったくと言っていいほどなされていないことだ。

それに加えて、年金資金が株式市場で運用され、多くの人が一斉に現金を引き出すようなことが起これば、株価は暴落し投資信託中心に運用されている年金資金も激減してしまうだろうと金持ち父さんは心配していた。

社会保障はあてになるのか?

「確定拠出型の企業年金」が頼れないとなると、残るは「社会保障」と「従業員自身の蓄え」だ。
個人の蓄えが充分にあればいいが、なければ「社会保障」以外にたよるものがなくなる。

これについても金持ち父さんは心配していた。

というのは、財政的に考えると社会保障は破綻することが予見されているからだ。
政治家は有権者の票を集めるために夢を語ることが多いが、その夢を実現するためには財源が必要になるが、歴史を見返してみるといつも夢の実現のためには財源が足らず、問題が先送りになるというプロセスが長年繰り返されてきた。
問題は先送りになるたびにさらに大きくなり、財源不足と国債の更なる発行と通貨価値の下落をひきおこす…こうして状況はますます悪化していく。
そうした悪循環を引き起こしている原因は政府を頼りすぎている私たちにあると、金持ち父さんは指摘している。