国は社会問題を解決できていないのに国民が声を上げない
10月15日、2024年のノーベル経済学賞が発表された。
受賞したのは、マサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル教授とサイモン・ジョンソン教授、それにシカゴ大学のジェームズ・ロビンソン教授の3人。
王立アカデミーは3人の研究について「法の支配が貧弱な社会や国民を搾取するような制度が、なぜ成長やより良い変化をもたらさないかを理解するのに役立っている」としている。
3人のうちの1人アセモグル教授はその著書のなかで、日本社会について次のように指摘している(AERA.dotに掲載)。
日本は1990年代のバブル崩壊以後、長期停滞に入ったままと言われます。
国家は、少子高齢化による人口減・経済格差など多くの社会問題を解決できないにもかかわらず、政権転覆につながるような激しいデモや社会変動は起きていません。
つまり、国家を監視し、国家の「専横」を防ぐほどには社会は強くない。
……なぜ日本の労働者が賃上げをもっと激しく要求しないのかわかりません」
何が問われる選挙なのか
これは素直な疑問なのだろうが、それだけに私たちにとってなかなか厳しい見方だとも感じる。
そんな普段は進んで声を挙げることのない日本の国民が、自らの意志を示す機会がすぐにやってくる。そう、衆議院選挙だ。
今回の選挙は、自民党の裏金問題(自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる収支報告書への不記載問題)が問われていると言われるが、選挙で自公が過半数の議席を取った場合、憲法改正と軍備増税に進むだろうと言われている。
自民党の森山幹事長は議席数が減った場合の連立拡大について否定していないので、自公が半数割れを起こした場合でも、日本維新の会や国民民主党まで拡大した連立政権となって既定の路線(改憲・軍拡・増税・社会福祉の削減)を進めるだろうという見方が強い。
消費税がさらに上がって15%(あるいは20%とも言われている)となり、すでに50%に近くなっている国民負担率がさらに上がり、軍備にばかり重点が置かれ社会福祉を削った予算編成になるとしたら、私たちの生活はどうなるだろうか。
今になって消費税減税や消費税廃止を公約に上げている候補者や党が増えているのは、そうした危機感に応えてのことだろう。
ここはよくよく見極めて投票することが大事だと思う。
何をチェックすればいい?
ではどこに投票すればいいのか。
まず、日本の経済がどんな状況になっているかをしっかり把握しよう。
いま、どこの政党に投票しようと考えているにせよ、まずひとつのガイドラインとして役立つのが、れいわ新選組の【衆院選2024 選挙公約プレゼン】だ。
これは日本経済についての客観的事実を数字と共にわかりやすく整理したものなので、どの政党を支持するかは別にして一度見ておいた方がいい。
その上で他の政党の主張も確認して、どの政党・どの候補に投票するかを考えるようにすると判断がつきやすいと思う。
選挙前の公約とこれまで言っていたことがずれている政党や候補もいるので、その点も要注意だ。
白票・棄権は白紙委任
また、白票は政権批判の票だと言う人もいるが、実際には棄権も白票も「現状に不満はないので白紙委任します」という意味になってしまうので、極力避けるべきだろう。
自分の考えと100%マッチする理想の候補や政党など存在しないのだから、一番ましだと思える候補や政党を選んで投票するしかない。
あるいは、一番当選させたくない候補を落とすために競り合っている候補に投票するという考え方もある。選挙とはそういうものだ。
もし今あなたが不満を持っていなかったとしても、この先この国に暮らす人にとってよりよい社会になるのか、という視点でもチェックしてよく考えてみてほしい。
とにかくみんな、サボらずに投票に行こう。棄権や白票は責任放棄、ダサイよ。