ESBIとは何か1…EとS

  1. キャッシュフロー・クワドラントの右側と左側
  2. E=従業員は安定を求める
  3. S=自営業者は独立を重んじる

キャッシュフロー・クワドラントの右側と左側

ロバート・キヨサキの『金持ち父さんシリーズ』で示される重要な考え方のひとつにキャッシュフロー・クワドラントがある。

これは、人がお金を生み出すための4つの方法を表すものだ。

このキーワードでもすでに取り上げたことがあるから、記憶している人も多いだろう。

『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』(筑摩書房刊)に詳しく説明されているように、Eは従業員、Sは自営業者、Bはビジネスオーナー、Iは投資家を意味する。

まず最初に理解しておきたいのは、この図は4つのうちどれがいいどれが悪いと言いたいのではなく、自分の立ち位置を把握するためのツールだということだ。

人は、自分の価値観、好き嫌い、興味といった根本的な違いによって、それぞれに好きなクワドラントを選ぶことになる。

キヨサキはクワドラントのどこにいても金持ちになることができると言う。

だが同時に、右側と左側とでは根本的な違いがあるとも言っている。

これはどういうことだろうか。

E=従業員は安定を求める

左上に位置するEは従業員、つまり給料をもらっている人を意味する。

Eであるかどうかは、仕事内容には関係がない。

大企業の社長でも、医者でも、小売店の店員でも、雇われて働いていればみんなここに属している。

従業員が求めるのは「安定」だと金持ち父さんは言った。

Eであれば毎日果たすべき仕事があり、毎月決まった給料が入ってくる。

福利厚生が充実していて、退職後も企業年金がもらえたりするのも、安定の大きな要素となる。

かなりの割合の人がこのEのクワドラントに属しているが、最近では、Eのクワドラントがもたらすはずの「安定」が危うくなっている。

というのは、企業が自らの負担を軽くしようと、さまざまなものを切り離しているからだ。

ときには雇用することさえも切り離そうとしている。

従来通りのEでいることはこれまでの世代と比べると、安定の度合いが低くなっているようだ。

S=自営業者は独立を重んじる

クワドラントの左下に位置するSは自営業者、いわば自分自身を雇っている人を意味する。

自分で事務所や店をかまえたり、実働時間やパーセントで報酬を決める専門職の人などがこれにあたる。

彼らは、何でも自分でやりたい、一生懸命働いた分の支払いはきっちり受けたいと思っている。

頭に入れておきたいのは、起業してビジネスオーナーになった人が、実はSクワドラントにいる場合も多いということだ。

なぜなら、Sのクワドラントに属する人は、徹底した完璧主義者であることが多く、自分以上にうまくやれる人などいないと思っているからだ。

だから、起業して小規模なビジネスをもったとしても、自分がすべてを仕切りたいと考え、人に任せることがなかなかできない。

それに多くの場合、彼らにとって仕事をする際にいちばん大事なのはお金ではない。

誰からも独立して、自分のやりたいようにやり、人から評価される、そういったことが大切なのだ。

だからSの人は一人でせっせと働き、自分で何でもやり続ける。

あなたはEとSのどちらかにあてはまるだろうか。