GDP(国民総生産)もフェイク!?

  1. GDPなどの精度に日銀が不信感
  2. きっかけは賃金統計の修正
  3. 統計職員は2000人足らず

GDPなどの精度に日銀が不信感

いまフェイク・ニュースという言葉が世界的に注目を浴びている。

すでに書いたように、「金持ち父さん」シリーズのロバート・キヨサキが現在執筆している本のタイトルも、『FAKE』になる予定だという。

フェイク・ニュースと言えば、日本でも先週、11月13日の日経新聞に掲載されたある記事が、ネット上で一部の話題を呼んだ。

「真相 深相」という経済蘭のコラム記事の扱いで、「政府統計、信頼に揺らぎ――GDPなど、日銀が精度に不信感」というタイトルがつけられている。

きっかけは賃金統計の修正

日銀が政府統計に不信感をもつようになったきっかけは、以前にここでも取り上げたように、厚生労働省が毎月出している賃金統計の伸び率が今年一月に跳ね上がったことだったという。

急伸の原因は統計手法を変えたことにあったが、これが実態を反映していないとネット上で指摘され、専門家からも異議が出て、さらに総務省の統計委員会で議論がおこり、結局、修正を迫られることになった。

今回、日銀は政府が計算して出しているGDPの元になる基礎データをそのまま渡すように求めた。

それに対し、内閣府は「業務負担が大きい」(つまり忙しくて手が回らないから応じられない)と反論し、一部のデータのみを渡したという。

統計職員は2000人足らず

記事はそのあと、統計は政府の政策を決めるうえで重要な役割を持つものであり、GDPなどの数字よりもその元になる一次データが重要であるという専門家の意見を引いている。

さらにそれに続けて、日本の統計職員の数が他国と比べて大幅に少ないという現実問題を指摘している(日本は1940人なのに対し、米国約1万4000人、人口が日本の半分程度のフランスで約2500人、さらに人口の少ないカナダで約5000人)。

最近の国会審議では、高度プロフェッショナル制度や外国人技能実習制度について意図的に誤った数字の資料を示して議論を誘導していくようなやり方が目立ち、繰り返し批判を浴びている。

まさか、賃金統計の伸び率やGDPまでそのような意図的なごまかしをやっているとは考えたくないが、いずれにせよ、一人一人がフェイク・ニュースを見破る眼を養うことはさらに重要になっていると言えるだろう。