米兵による殺人事件
10月3日に那覇市のホテルで女性の遺体が発見され、翌4日には強盗殺人の容疑者としてアメリカ海兵隊員デビン・ジェイコブ・バラード(20)が逮捕された。
飲酒運転が多発していることも重なり、米軍は7日正午から48時間のあいだ通常運用の停止、基地内外での飲酒禁止、加えて30日間の夜間外出制限を発表した(ただし実際には守られていないとの報告もある)。
これまでも沖縄の米兵による刑法犯罪は、飲酒運転からひき逃げ、強姦、強盗、殺人まで、繰り返し起こっている。
統計によれば、1972年の復帰から2023年末までに、沖縄での米軍人・軍属等による刑法犯罪は6,235件、うち凶悪犯罪は586件だという。
1995年には、小6の女児が米兵3人に拉致され強姦された事件があり、このときは8万5千人もの県民集会が開かれて、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小を求める決議が採択された。
日米地位協定の見直しを
今回の事件について、アメリカ大使館はTwitter(現X)で「亡くなられた方のご遺族に対し、米国政府として心より哀悼の意を表します」と発信したが、その際に「沖縄県で発生した日本人死亡事件」と述べたことに、当然ながら引っかかるものを感じるとの意見が見受けられる。
日本側は高市首相、茂木外相、小泉防衛相などが米国に抗議したものの、これまでも何ら改善されず米兵による凶悪事件が繰り返され、犯人は米国に引き渡されて(実質ほぼ無罪放免となって)いるのだから、形だけの抗議だと言われても仕方がない。
就任したばかりの古謝沖縄県知事も記者会見を開いて米軍に電話で抗議したと述べたが、詳細を聞かれた際になぜか笑いを見せたことで非難を浴びている。あれは、米軍に対しては何も出来ないという自嘲の笑いだったのだろうか。
日米地位協定は1960年に制定されてから一度も改定されていないが、在韓米軍地位協定が韓米の交渉で大きく改善されているのを見れば、日本もアメリカに強く求めて改定を実現するよう働きかけるべきだし、それは十分可能なはずだとわかる。
ウチナンチュとヤマトンチュ
よく言われることだが、沖縄は日本の国土面積の0.6%の広さしかないのにも関わらず、在日米軍専用施設の7割を押し付けられているのが現状だ。
基地の存在は、沖縄の経済発展を阻害していると指摘されているし、今や与那国島などの先島諸島では長距離ミサイル配備が始まり、戦争になったら沖縄から全員が避難する計画まで立てられている。
今回の事件後、沖縄だけでなく東京の米国大使館周辺でも繰り返し抗議行動が行われているが、米国大使館前は相変わらず過剰なほどの警官が配備されて近づけず、6日夜には米大使公邸で盛大な屋外パーティーが開かれ、生バンドの音楽が聞こえ談笑する男女が出入りしていたという。
抗議行動では沖縄出身者が次のような抗議の声を上げていることを知って、沖縄以外に暮らす私たちも日本全体の問題として考えていきたい。
「ウチナンチュとして、この状態を維持しているヤマトンチュにも抗議しています。ヤマトンチュはいつまで沖縄だけに声を上げさせるのか」
「アジア人は人ではない」
沖縄で米兵の凶悪犯罪が多い要因として、米軍基地が集中していることだけでなく、海兵隊が配備されていることが挙げられる。
海兵隊はアメリカが戦争を行う際にまっさきに敵地に上陸する部隊であり、ためらいなく人を殺すための訓練を受けている。
さすがのアメリカも海外にこんな危険な部隊はおけないと考えたか、米本土以外で配備されているのは沖縄だけなので、日本政府は即刻撤退を求めるべきだ。
実際にベトナム戦争中は沖縄からベトナムへ、今は沖縄からイランへと出兵しているが、戦地に行くようになると沖縄では荒れる兵士が増えると言われている。
今上映されている塚本晋也監督の新作映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、米海兵隊員の殺す側のPTSDを描いた作品だが、その中では「海兵隊はアジア人は人ではないと差別を植え付けられた上で沖縄に送られる」と明確に示されている。
そのことは、昔の日本では「鬼畜米英」と教えたし、今のイスラエルでは「パレスチナ人は赤ん坊も含めテロリストだ、野獣だ」と教育しているのを見ても本当だろうとわかる。
本来、人間は殺し合うようにはできていないので、殺そうとする相手は人間ではないと思い込む必要があるが、そう思い込んだとしても、殺した方も心に傷を負うことになるのだ。
憎しみや差別は、組織的に煽られることで戦争という大規模な殺戮行為へとつながり、それは結局は安全地帯にいる者が金を儲けるためのものでしかない。
