「老後2000万円問題」が「老後4000万円問題」に?

  1. 5年前、大きな話題に
  2. 円の価値は7掛け、金は2.6倍に
  3. 物価上昇が年3.5%と仮定すると

5年前、大きな話題に

2019年6月頃に「老後2000万円問題」がニュースなどでとりあげられたのを覚えているだろうか。

金融庁の審議会が「老後の生活のために年金で不足する2000万円(夫婦2人で)の用意を」という提案をして、大きな話題となったものだ。

政府の意図としてはこの報告書で関心を引き金融商品への投資を促したかったのだろうが、かえって不安や不満を引き起こす形となったため、結局は財務大臣がその報告書を受け取らないとしたことで問題をうやむやに終わらせた。

当時、ファイナンシャルプランナーの間では「きちんと計算して計画的に生活すれば、老後の資金の不足はそれほど心配することはない」といった論調が多かったように思う。

円の価値は7掛け、金は2.6倍に

それからほぼ5年がたち、状況はどう変わっただろうか。

先日厚労省が発表した統計調査によると、3月の実質賃金は24カ月連続のマイナスとなったが、これは過去最長となる記録的な数字だと言う。

ドル円はご存じのように今や1ドル=155円~156円あたりをふらふらしているが、2019年6月当時の為替を確認すると1ドル=108円台といったところだった。

一方で2019年6月に1gが5000円前後だった金の店頭小売価格は、2024年5月13日に一時13000円を超えるところまで上昇している。

つまりこの5年のあいだに、円の価値は対ドルで7割ほどまで下がり、金の値段は2.6倍に上がったことになる。

もちろん、すべての物価が金と同様に2.6倍に上がっているわけではないが、足元から物価高がジリジリと迫ってきているのは、毎日の生活のなかでだれしも実感しているはずだ。

物価上昇が年3.5%と仮定すると

そうなると当然の流れとして、「老後の年金生活を補うのに2000万円が必要」と言われていたのを検証してみようという動きが出てくる。

あるテレビ番組が老後資金の不足を心配する声をとりあげ、専門家にいくら必要になるかを聞いた。

その答えは、「もし年に物価が3.5%ずつ上昇すると仮定すると、20年後には4000万円の老後資金が必要になる可能性がある」というものだったという。

ちなみに、昨年の消費者物価指数は東京都区部だと前年比で3.1%上昇しているので、あながち現実離れした想定ではなさそうだ。

こうしたことも踏まえた上で「金持ち父さんシリーズ」を読み直し、あなたの老後2000万円問題を解決するためになにをしたらいいのか、いま一度具体的にプランを立ててみよう。