「残業代ゼロ時代」がやってくる?

  1. 働き方改革法」=高プロ制度
  2. 経団連は範囲の拡大を明言
  3. 残業という概念がなくなるとどうなるか

働き方改革法」=高プロ制度

安倍政権が今国会での成立を目指していた、高度プロフェッショナル制度を含む「働き方改革」法案が6月29日に可決された。

これまでで最多の70を超える付帯決議をつけての可決だそうだが、要するに法案として欠陥だらけであるものをむりやり通してしまったことを意味する、と強く批判されている。

審議の終盤では、本来労働者の権利を守るべきである今回の労働法の改正案が、実は労働法で縛られるべき雇用者側の要請から出たものだということも明らかにされた。

さらに、雇われて働いている側への聞き取りは法案が作られる段階ではまったく行われず、いわゆる立法事実がないままの改正案であること、マスコミで流れているような成果主義の制度設計ではないことがはっきりしたのにもかかわらず、廃案にならなかった。

経団連は範囲の拡大を明言

審議を通じて、厚労相の答弁はごまかしやはぐらかしが多くて真摯なものとはいえず、審議時間を無駄に消費するものだったことも、繰り返し指摘されている。

国会での説明では、高度プロフェッショナル制度の適用は年収1075万以上の労働者となっていたが、法案の可決を受けて早くも経団連は適用範囲の拡大を目指すと明言している。

実際、この高プロ制度の適用範囲は、国会での法改正をせずに変更できるように設計されているから、拡大されていくことはほぼ確実だろうと予測されている。

来年4月からの導入が可能なので、今就活をしている人、転職を考えている人は、高プロ制度についてよく知っておいた方がいいだろう。

残業という概念がなくなるとどうなるか

高プロ制度が適用された場合にどんな働き方になるかは、以前からすでに残業という概念がない教員の状況を見ればわかると言われている。

ネットで検索すればすぐにデータが出て来るが、教員はかなりの長時間労働になっているし、うつ病などで休職する率は他の業種よりも高く、過労死は認定されにくいとも言われている。

最近では、希望者が減って教員不足に陥っている都道府県も増えているというニュースが流れ、教育の質の低下が心配になるほどだ。

これからはどんな職種でも、むりな働き方をさせられないよう、監視していくことが必要になりそうだ。