カジノ法案で「ギャンブルのための借金が可能」になる?

  1. よい借金と悪い借金はどこが違うのか
  2. 無利子無制限の借金が可能に?
  3. 米カジノ業界の要望が背景に

よい借金と悪い借金はどこが違うのか

ロバート・キヨサキは「金持ち父さんシリーズ」(筑摩書房刊)のなかで、借金を「よい借金」と「悪い借金」に分けて考えるようにと言っている。

よい借金とは投資のための借金で、たとえば不動産投資をする際に金融機関などから借り入れるものだが、借りる際に借り手は事業計画や担保を求められるのが普通だ。

一方、悪い借金とは消費のための借金で、たとえば消費者金融での借金や、リボ払いで洋服や日用品などを買ったりするのもこれにあたるが、担保は不要で住所や勤務先がわかればすぐ貸してくれる。そのかわり利率が高めだ。

さらに今、もっと悪い借金、ギャンブルに使うとわかっているお金がたやすく借りられるようになる、という法律が国会で審議されていて、会期中に成立しそうな見込みなのをご存じだろうか。

無利子無制限の借金が可能に?

それがカジノ法案と呼ばれている統合型リゾート(IR)整備推進法案だ。

この法案のなかには、賭け金が足りなくなった客に、カジノ事業者(つまり賭博の胴元)がその場で二か月無利子で融資ができる「特定金融業務」が含まれており、これは年収の三分の一を超える貸付けを禁じる貸金業法の対象外だという。

そもそもこの法律は、カジノを含むリゾート施設を作れるように法整備して海外の観光客を呼び込もうという触れ込みで検討が始まったが、実際にどのくらいの経済効果が見込まれるのかは数字で示されてはいない。

むしろ、今でも公営ギャンブルやパチンコ・スロットマシンなどが多いといわれる日本で、さらにギャンブル依存症の人が増えるのではないかという懸念が示されている。

米カジノ業界の要望が背景に

政府は7月第二週、西日本で大規模な水害が起こっているさなか、本来なら災害対策の中心となるべき石井国土交通相を担当大臣として答弁に立たせてこのカジノ法案の審議を強行し、大きな批判をあびている。

なぜ、それほどカジノ法案を成立させたいのか。

ひとつには、トランプ米大統領のスポンサーでもあるカジノリゾート会社ラスベガスサンズの会長兼CEOシェルドン・アデルソンの強い要望があったからだと言われているが、彼はこれまでも実際に来日して政治家に会ったりしている。

しかし、朝日新聞が7月14日-15日に行った世論調査でも、カジノ法案の今国会での成立は不要と答えた人が76%にのぼるのが現状だ。

こうした法案を、ほんとうに安倍政権は強行採決するつもりなのだろうか。