岸田首相は国民の生活が見えているのか

  1. NATOに出席
  2. インボイス増税・退職金増税・給与控除の縮小
  3. セーフティーネットを削れ

NATOに出席

岸田文雄首相は7月11日朝、NATO=北大西洋条約機構の首脳会議などに出席するため、ヨーロッパへ出発した。

これまでの岸田首相の動きを見ていると、今回もおそらく外遊先で巨額の援助を申し出るのだろうと推測される。

ウクライナへ直接援助をするかあるいはウクライナの借入れの保証国になることで、日本からの武器その他の輸出を狙っているのではという見方もある。

しかし、国内の状況に眼をやると、政府の税収は大幅に伸びているものの、年収200万円以下の層が1200万人を超えたなどと格差の拡大が報道されている。

この税収増は消費税の伸びによるものだと言われるが、逆累進制の強い消費税でいくら税収を増やしたところで、国民の生活が困窮すれば国全体が貧しくなっていくのは明白なことだ。

政府はこの先、何か手を打つつもりがあるのだろうか。

インボイス増税・退職金増税・給与控除の縮小

今年の秋からインボイス制度が始まる予定だが、これは赤字であっても消費税分を徴収するものだから、中小零細企業・個人事業主への課税強化を意味し、倒産や廃業が続出するのではないかと懸念されている。

消費税は預かり税だから国庫に納めるのが当然と主張する人もいるが、消費税が預かり税でないことは国会で財務省も答弁しているし裁判での判例もあることは、事実として押さえておいたほうがいいだろう。

そして、国が課税強化の対象として考えているのは、中小企業・個人事業主だけではないようだ。

おそらく、インボイス制度が始まれば、その先には消費税率のさらなる引き上げが待っている。

また、給与所得者もこの流れからは逃れられないようで、サラリーマンは税制で優遇されているから、退職金への課税を強化するべきだ、恵まれすぎた給与控除を削るべきだといった話が政権内で出ているという報道がある。

国民をさらに困窮させて政府の税収だけ増やして、この国はいったいどこへ向かおうというのだろうか。

セーフティーネットを削れ

そうしたなか、「年金制度や生活保護制度をなくしてベーシックインカム制度に回せ」という主張がネットで流れているのを見た。

政府がマイナンバーカードがらみで健康保険証廃止を目指して国民皆保険を危うくしようとしているのと併せて考えると、小さな政府を目指す動きのように思える。

だが、ベーシックインカムで実際に月何万かもらったとしても、こうしたセーフティーネットがなくなると、病気や思わぬ出来事で生活が立ちゆかなくなってしまう可能性が出てくる。

これは結局は格差をさらに拡大する方向へと向かう動きなのではないか。

「年金制度や生活保護制度をなくしてベーシックインカム制度に回せ」という主張をしているのが、岸田政権の顧問で日本維新の会ともつながりの深いあの竹中平蔵氏であることを見ると、どうしてもそう思えてしまうのだが。