バブル後最高値更新
日経平均株価は今年5月なかばに3万円台を回復し、それ以降「バブル後最高値を更新」といったニュースが何度も流れてくる。
年初と比べると日経平均は3割ほど上昇したことになるが、値上がりしているのは主に大型株のようだ。
日経平均の上昇は海外投資家が日本株を買っているからだ、ウォーレン・バフェットが日本の商社株をまた買い増しした、といった報道も出ている。
どこまでこの上昇傾向が続くかはわからないが、海外の資金が日本株に流れているとすれば、その理由としては日本株が割安だと見られていることや、円が対ドルでゆるやかに下落を続けていることがあるのだろう。
ちなみに6月20日現在、為替は1ドル142円台をつけている。
前月比12ポイントの急落
安倍政権以来、株価と政権支持率の連動が取りざたされるようになり、故・安倍元首相は常に日経平均株価を意識しながら政治をしているとまで言われた。
岸田政権も基本的に経済界のほうを向いているので同じ傾向にあり、この日経平均の動きからすれば支持率は高止まりしているはずだった。
だが、6月半ばころから各社世論調査では支持率が急落し、毎日新聞の世論調査では、支持率は前月の45%から33%と大幅に下がり、不支持率は58%に跳ね上がったという。
たしかにこのところ、長男の岸田翔太郎秘書官の処分問題、木原誠二官房副長官の不倫報道、入管法「改正」の強行、混迷を極めたLGBT法案審議、退職金増税、防衛費増強、軍需産業支援、原発回帰、そして骨太の少子化対策(2030年から本格化?)と立て続けに問題が明らかになり、さまざまな方面から批判が向けられている。
「丁寧に説明していく」
これらの世論調査でも浮き彫りになったのが、マイナンバーカード普及にからんだ健康保険証の廃止問題がひきおこした不安の大きさで、7割以上の人が不安をもっていることが明らかになった。
しかし、日々明らかになるシステムの不具合に対して、岸田首相も松野官房長官も「丁寧に説明していく」と繰り返すばかりで、健康保険証の廃止は既定路線だという線を曲げようとしない(その背景には経済界からのマイナカード情報利用に対する強い要望があると言われている)。
また、この秋にはインボイス制度の開始が予定されているが、結果として大量の事務処理が増えるとともに実質的に増税となり個人事業主などに多くの廃業者が出るのではないかという懸念が取りざたされているが、これに対しても反応は鈍い(さらにその先には、消費税の引き上げが予定されているとも言われている)。
さらに、少子化対策として打ち出した子育て支援と引き替えに16~18歳の子どもの扶養控除を廃止するとのことだが、これだと実質マイナスとなる世帯も少なくないと指摘され、子育て世代からの不満も聞こえてくる。
こうした問題をしっかり見据えて国民の不安や不満に正面から対処しないと、岸田内閣の支持率はまだまだ下がっていくことになるのではないだろうか。