75歳までは高齢者ではない
「年金を75歳まで繰り下げ受給できるようにすべきだ」という議論が、7月18日の内閣府有識者会議で交わされたというニュースがしばらく前に流れた。
報道によれば、これはあくまでも、「希望すれば年金受給を75歳まで繰り下げてそのかわり支給される年金は割り増しになる」ということだそうだ。
だが、このところ日本老年学会が「75歳以上を高齢者と考えるべき」と提言したりしているので、政府はいずれ年金支給を75歳からにしたいのではないか、と恐れている人がけっこうな割合でいるようだ。
たしかに、「一億総活躍社会」を目指すというスローガンを政府がかかげているのだから、できる限り現役で働くように、というメッセージだと受け取るのは当然だろう。
年金なしに老後を乗り切れるか
このニュースを聞いて、はたして年金が75歳からの支給になった場合に、どんなことが起こるのだろうと不安になるのは当然だ。
もちろん、健康で労働意欲もあり、希望に沿った仕事があるあいだはいい。
だが歳とともに身体のあちこちにガタがきて、気力もだんだん衰えてくると働くのがつらくなるし、引退してゆっくり過ごしたいと考えるのは自然の成り行きだろう。
ネット上では、年金受給開始が75歳からになった場合、収支はどうなるのかといった試算もされているが、ある記事によれば、「夫婦2人の場合、60歳で5000万円の貯蓄があったとしても80代で破産」というショッキングな結果になっている。
ほかの世代も圧迫することに
「どうせ私たちの世代が高齢者になる頃には年金制度が破綻しているだろうから、何歳から年金がもらえるのかで騒いでいる今の中高年のことは冷ややかな目で見てしまう」という人も少なくないというのも理解できる。
だが実際、自分の親が年金をもらえなくなって破産したとしたら、そのとたんに子供であるあなたに経済的にも精神的にも負担がかかることになるのではないか。
すでに今でも、年金では暮らせないのでアルバイトを掛け持ちしている高齢者の話なども聞く。
世代に関係なく、老後の生活のお金をどうするかは、真剣に考えておいた方がいいようだ。