二つの異なる世界
金持ち父さんはこう言った。
「ビジネスを始める最大の理由は、実習するためのビジネスを持つことだ。練習するための自転車が無かったら、自転車に乗れるようになるわけがないし、実習用のビジネスがなかったら、起業家になれるわけがない」
(「金持ち父さんの起業する前に読む本」(筑摩書房))
ロバート・キヨサキは従業員が起業家になるプロセス、一つの世界から別の世界へ移るプロセスを一般道路とサーキットを使ってこう述べている。
一般道路を走るドライバーからサーキットを走るドライバーになる場合、それまでに学んだ多くを忘れる必要がある。
つまり、一般道路でやるべきことをサーキットでやっていたら死んでしまうこともあるのだ。
減速するといった一般道路では「賢い」判断が、サーキットでは「愚かな」判断になる場合も多い。
従業員と起業家の世界でも、一方では正しいことが他方では間違っている場合があるのだ。
次の項では、新米従業員に必要なステップを紹介しよう。
10のステップ
起業家になる人は、ゼロから何かを作り出しているわけだから、間違いがあって当然だ。
ロバート・キヨサキは、成功したい新米起業家は次の10個のステップをできるだけ短期間で踏む覚悟が必要だと述べている。
1.ビジネスを始める
2.失敗して学ぶ
3.「よき師」を見つける
4.失敗して学ぶ
5.セミナーや講座をとる
6.何度も失敗して学ぶ
7.成功したら立ち止まる
8.成功を祝う
9.儲けたお金、損したお金を数える
10.このプロセスを繰り返す
ビジネスを始めないで起業家になるのは不可能だ。
それは金持ち父さんが言っているように、自転車なしに自転車を乗る練習をするようなものなのだ。
分析麻痺になるな
ロバート・キヨサキ曰く、起業家になりたいと思っている人のうち90%は、先程の一つ目のステップすら踏まず、「分析麻痺」という恐ろしい病気に掛かってしまっているという。
そういう人はプランを作っては作り直し、「今はまだその時ではない」とか「このプランではだめだ」と、何かしら言い訳を見つけて前に進まない。
何かやってみて失敗するのが大事なのに、そうはしないでただ失敗しないように一生懸命働いてしまい、分析麻痺の世界にはまり込んでいるのだ。
貧乏父さんは間違いを避けることに焦点を合わせた考え方をしていたからこそ、いい従業員だった。
一方、金持ち父さんは間違いを犯すことを奨励する考え方をしていた。
だからこそいい起業家だったのだ。