株価は何を意味するか

  1. 日経平均株価2万円の攻防
  2. 株価は単なる数字でしかない
  3. 日銀の出口戦略は?

日経平均株価2万円の攻防

株式投資をしている人は、最近の株価の動きをどう見ているだろうか。

2018年12月28日の大納会では日経平均は20014円で引けて、どうにか2万円台をキープした。

一部で指摘されているのは、日銀のETFの大量買いが相変わらず入っていること、大納会のさいごにファーストリテイリングに買いが入って大幅高となり、そのおかげで日経平均2万円がキープされたのではないかという推測だ。

たしかに値動きを見ると、そうした推測は否定しきれないようにも見える。

年が明けてからも世界経済への不安がささやかれ、2万円をはさんで日経平均株価は1万9000円~2万円あたりで上下している。

株価は単なる数字でしかない

これに関連して、まるで日経平均株価2万円になにか特別な意味があるかのように報道されているのがちょっと気になる。

株価とは、その価格で株の売買が成立したことを意味するものであり、それ以上でもそれ以下でもないし、日経平均も、指標として選ばれた銘柄の株価から計算されたものでしかなく、それ以外の意味はない。

しかしながら、あたかもその数字に何か意味があるように言われているのは非常に奇妙な現象に思える。

たとえば、これまでも株価の上昇がまるで現政権への評価であるかのような表現を見かけたり、最近では政権交代があれば株が下落するのではないか、といったことを言う人までいる。

日銀の出口戦略は?

だが、むしろ気にすべきなのは日経平均株価よりも、その内実なのではないだろうか。

日本の株価がここ数年、日銀のETF買いに支えられていることは周知の事実であり、いま懸念されているのは、日銀は買うばかりで売ることが出来ないという状況、つまり日銀に出口戦略がないことだ。

ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏の推計によると、日銀の保有株の損益分岐点は日経平均1万8434円(11月末)だと、一部で報じられている。

さらに、株価下落に伴い、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が年金積立金の運用で10月~12月のあいだに14兆の損失を出しているのではないかという報道もある。

この演出された株式市場は、いったいどこに向かうのか、見守るしかないのだろうか。