毎月勤労統計のウソ
ロバート・キヨサキがいま準備している次回作のタイトルは『FAKE!』だという。
そのタイトルが示すように、いま世界でフェイク・ニュースという言葉が注目を浴び、世の中にあふれる情報のうち、どれが真実かを疑ってみることが大事だと言われている。
そうしたなか、我が国の厚生労働省が発表している「毎月勤労統計」が、実は調査すべき事業所の三分の一しか反映していない不正確なものだったという衝撃的な事実が昨年末に発覚した。
この数字は政府の有識者会議でも疑問視され、日銀が元データの開示を求めていたいわくつきのものだが、国会議員による総務省厚労相職員の聞き取りによって、この不正が判明した。
GDPや予算案にまで影響
この毎月勤労統計調査は賃金伸び率やGDP(国民総生産)といった重要な指標の計算のもとになるものだ。
また、さまざまな研究や政策の策定などにも使われるため、影響はどこまで広がるかわからない。
さらに、GDPなどの重要な指標について正確な物が出せないとなれば、日本は国際的な信用も失いかねない。
現実問題として、失業保険、労災保険などの給付金の算定にも使われているため、過小給付となっていた2000万人に対して再給付を行う必要が出てしまい、すでに閣議決定した予算案を組み直すという異例の事態を引き起こしている。
元データは失われた?
なぜこのようなことになったのか、何らかの意図や指示があったのかは調査中だが、いまのところ、不適正な数値の発表は2004年から始まっていたと言われており、正しい数字は失われたと発表されている。
だが、これまでも「ない」と言われていた資料が官庁の片隅から出てきたことは、防衛省の日報問題を始めいくつもある。
厚生労働省は原因解明や元データの捜索などよりも先に、担当者の処分を早々に行おうとしているようだが、それがどうしても怪しく見えてしまう。
何よりもまず、こうした情報は私たち国民の財産であり、国はそれを正しく算出し公表し保管する義務があることを忘れず、注目していきたい。