銀行は何を見て融資をするのか

  1. キヨサキは不動産投資が好き
  2. 経営破たんと立ち入り調査
  3. 事業としての物件の価値を見る

キヨサキは不動産投資が好き

ロバート・キヨサキは不動産が好きで、20代から不動産投資を始め、いまではアパートやホテル、ゴルフ場などを数多く所有している。

不動産投資は、金融機関の融資を受けてレバレッジをかけ、大きな儲けを得ることができるところがいいと、キヨサキは『改訂版 金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房刊)をはじめ、著書のなかで繰り返し強調してきた。

不動産投資は、言い換えれば賃貸事業の経営であり、本来は、短くても数年から十年単位、あるいは数十年単位の経営見通しをもって行うものだ。

当然ながら、不動産投資に融資する金融機関も、その事業が成功する可能性があるかどうか、融資するのにふさわしい事業なのかを、しっかりと見極めて融資を決める。

経営破たんと立ち入り調査

だが、今年初めから注目されている女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」の場合は、賃貸事業としての計画に問題があったようで、建築・販売とサブリースを行っていた会社スマートデイズは経営破たんに陥り、民事再生の申請に踏み切った。

それに伴って、シェアハウスのオーナーへの融資を積極的に手掛けていたスルガ銀行には、金融庁の立ち入り調査が入ることとなった。

こうした動きの背景には、2015年の相続税増税をきっかけに、節税を目的とした地主の人たちのアパート建設が増え、また、その後マイナス金利になったことで金融機関はサラリーマン大家に対して積極的な融資を行ってきたという大きな流れがあるのだろう。

ただ、今回のスルガ銀行のシェアハウスオーナーに対する融資の問題点としては、事業内容を見て判断していない、ということに尽きると思う。

事業としての物件の価値を見る

報道によれば、スルガ銀行が融資の審査をするときに、業者が預金通帳のコピーの残高を改ざんしたり、顧客の口座にいったんお金を入れる「見せ金」などの手口で、オーナー候補者の資産を多く見せたりしたという。

つまり、銀行が物件の事業性を見るのではなく、融資先となるサラリーマン大家さん個人の属性や資産額を見て融資を決めている、という実態がこのことからよくわかる。

繰り返しになるが、銀行は本来、物件の事業としての価値を見て融資を決めるべきなので、「かぼちゃの馬車」のオーナーたちは融資をしたスルガ銀行にも責任があるとして追及している。

不動産投資は、銀行の融資というOPM(他人のお金)をレバレッジとして使い、賃貸事業で収益を上げるものであり、物件のオーナー、金融機関、管理業者などのチームワークで行うものであることをよく理解しておこう。