ホームレスと富裕層
報道によると、米国では13~25歳の若年層ホームレスが400万人以上にのぼっているという、シカゴ大学の報告書が先日発表された。
この数字は、路上で暮らす人から友人の家を泊まり歩いている人までを含み、これまで調査などから漏れがちだった、こうした人々の実態を初めて明らかにしたものだという。
一方、クレディ・スイスの最近のレポートによると、2007年の金融危機以降、富の増大が全世界で加速しているものの、その恩恵を受けている層は一部に限られ、「世界人口の10%未満の人々だけで世界の富全体の86%を所有している」という。
こんなふうに格差はますます拡大しているが、ロバート・キヨサキは、『金持ち父さんの こうして金持ちはもっと金持ちになる』のなかでその拡大の理由を5つあげている。
格差を拡大する5つの要因
- グローバリゼーションにより、仕事が低賃金の国に流れる。
- テクノロジーにより、ロボットやソフトウェア、AIなどが労働者に代わって仕事をするようになる。
- 金融化(金融工学)により、お金を持たない層がより搾取される仕組みが作られる。
- 権力の私物化(クレプトクラシー=泥棒政治)により、権力の座にいる者が私腹を肥やしていく。
- ベビーブーマー世代の破綻により、中流層が没落していく。
格差が拡大すると社会が不安定に
キヨサキが挙げているこうした要因によって、アメリカやヨーロッパ、日本などではますます格差が拡大している。
世界中で富が増大したとしても、その恩恵を受けるのが一部の人に限られるとしたら、残りの部分の人々のあいだで不満や不安がつのり、決していい結果を招かないだろう。
不満をもつ人々が暴動をおこしたり、それを武力で弾圧する、といったことまで起こるかもしれない。
富がごく一部だけに偏在し、社会が不安定な状況になっていくとしたら、はたして世界は豊かになったと言えるのだろうか。